干し柿に目覚めさせてくれたのは今は亡き田んぼの隣山で田畑をなされていたお爺さん。
五年ほど前にちょくちょく遊びにいっていた簡易囲炉裏のある手つくりの小さな小屋。
お米が実り始めると、お爺さんは独りその一人しか寝られない小屋で火を焚きながら
鹿や猪などが夜間に田んぼに侵入するのを眼光鋭く神経を集中して、寝ずの番。
そんな彼と親しくさせていただいてました。そんな彼は、とある十一月の昼間に
私の田んぼの近くを竿を持って出没。どこいくの?と聞いても真剣な表情をしたまま
無言のまま藪に進んでいきました。そして二時間ほどたって忘れたころに彼はまた
私の眼の届くところに現れました。よく見ると長い竿に沢山の柿をつるしてます。
なんと!私はなぜか感動してました。日本昔ばなしをリアルに見ている。と。
少し頂戴と言いましたがひとつもくれません。
時が過ぎ真冬に小屋に遊びに行ったとき彼は小屋の入り口あたりに吊るしてある
変な物体をもぎとり私にポイと投げ与えてくれました。
その物体は、とてもとても美味しかった。
彼に渋柿のあつかいかたを学ばしていただきました。
天国でも干し柿をつくってるかな?
こちらも美味しくできるようになりました。
ありがとう。
鈴木大介